北海道でマダニが媒体になる新たなウイルス感染症「エゾウイルス」が発見されました。
公式発表が長い文章で専門用語が多いため、わかりやすく要約しました。気になる方はぜひ読んでください。注目すべきは「北海道以外でも感染しうる」という可能性です。
マダニに刺されてエゾウイルスに感染したときの症状や予防対策とどこで感染するのか、ペットや動物に移るのかお伝えします。
エゾウイルス発見の経緯
2019年と2020年に道内でマダニと思われる虫に刺されたあと、発熱と下股痛を訴えた患者から「新規のウイルス」を検出。
14年以降にダニに刺されて感染症を起こした可能性のある248人の血液を分析したところ、5人がこのウイルスに感染していたことが判明し、合計7人がエゾウイルスの感染歴があります。
なお、死者はでていません。
エゾウイルスの症状
エゾウイルスの症状は、マダニに刺されてから約数日~2週間後に「発熱」と「筋肉痛」の症状がでるようです。
刺された後は小さい赤いブツブツ(小丘疹)と周辺が赤くなります。紅斑や色素沈着様の発疹が出る場合もあります。
2019年5月 基礎疾患のある40代の男性の症状
- 山林に4時間ほどの山菜取り中に刺される。
- 5日目に39度の発熱
- 7日目に両下股の激痛により歩行困難
- 9日目に精密検査と加療のために入院
- 15日目に後遺症無く退院
入院中は白血球減少、血小板減少、肝機能酵素のなどがみられた。
2020年8月 既往歴のない50代男性喫煙者の症状
- 山林で4時間ほど山歩きを行ったなかで刺される
- 9日目に食欲低下
- 17日目に発熱
- 19日目に市内のA病院 血液検査で血球減少を確認
- 20日目にB病院紹介受診 貧血、血小板減少、肝機能酵素上昇など確認
- 21日目に市立札幌病院紹介受診 白血球減少、血小板減少 肝機能酵素の上昇などの異常所見を確認。 紅斑や色素沈着様の発疹多数を確認。
- 22日目にふらつきで再受診するもMRIなどの検査で異常なし、発熱がおさまりその後回復。
エゾウイルスはどこで感染する?
マダニは山林に多く生息しているので、山菜取りやレジャーで山に入るときは、肌を露出しない服装にすることが大切です。
民家の裏山や畑、あぜ道にも生息しています。
マダニは全国に生息していますので、今後北海道で以外でも感染報告が出てくる可能性があります。道外の方もマダニに刺されないように予防と対策をしましょう。
エゾウイルスの予防対策
エゾウイルス(マダニ)対策の服装
- 長袖、長ズボンを身に着ける
- ハイネックの服、または首周りをタオルで巻く
- 袖口を軍手の中に入れる
- ズボンの裾を靴下の中に入れ、長靴をはく
- 家に入る前に上着に虫がついていないか確認
- ついていたらガムテープやマダニ用スプレーなどで取る
山に入る前や野外活動の前に、マダニ用のスプレーで予防しましょう。
マダニには「ディート」または「イカジリン」の成分のものが有効です。
エゾウイルスはペットや動物に感染する?
エゾウイルスはエゾシカなど野生動物への感染が報告されています。
またマダニ自体は、野生動物のほかに犬や猫も刺すことが確認されていますので、エゾウイルスにペットが感染する可能性はあります。まだ報告はありません。
また散歩中の犬や放し飼いの猫が、家の中にマダニを持ってくる可能性もありますので、外から戻ってきた時は十分に注意しましょう。ペット用のマダニ対策もあります。
エゾウイルスまとめ
北海道酪農大学 プレスリリース
https://www.rakuno.ac.jp/archives/17460.html
希少感染症診断技術研修会
https://www.niid.go.jp/niid/images/plan/kisyo/4_matsuno.pdf
国立感染症研究所 マダニ対策
https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html