秋から冬にかけて、「ロタウイルス」というウイルスによって、急性の胃腸炎が引き起こされる場合が多いです。
ロタウイルスは感染力が強く、「おなかにくる風邪」ともいわれ、乳幼児が多く発症する冬場の「嘔吐下痢症」の原因のほとんどは、このロタウイルスが原因です。
ノロウイルスに比べると知名度の低いロタウイルスですが、これからの季節は気をつけておきたいですよね。
ロタウィルスの症状は、大人と子供では、どう違ってくるのでしょうか。
出典 http://www.med.or.jp/clinic/img/il_sick/44b.jpg
ロタウイルスの潜伏期間は?
ロタウイルスは、乳幼児の急性重症胃腸炎を引き起こすウイルスのひとつです。
ウイルスに感染すると、2日から4日の潜伏期間(感染から発病までの期間)のあと、お米のとぎ汁のような白っぽい水のような下痢や嘔吐が繰り返されます。
ロタウィルスの潜伏期間は他の人を感染させる可能性があります。
子供のロタウイルスの症状
嘔吐が1日に3回から5回ほど起き、長くて2日ほど続きますが、下痢は1週ほど続きますので、注意が必要です。
発熱も出ます。ノロウイルスが37度から38度代の発熱が一般的なのに対し、ロタウイルスは38度代の高熱が続く場合が多く、なかには高熱で小児脳炎にまで発展してしまうケースもあります。
ほかに合併症として、けいれん、肝機能障害、急性腎不全、心筋炎などが起こる場合もあります。意識の低下やけいれんなどの症状が見られたら、速やかに近くの医療機関を受診しましょう。
赤ちゃんの感染に注意!
感染してしまうと根本的な治療がなく、とくに赤ちゃんの場合は重症化しやすいロタウイルスですが、2011年から2種類のワクチンが発売され、ワクチンを飲んで予防することができるようになりました。
WHO(世界保健機関)は、ロタウイルスのワクチンを子供が接種するべき最重要のワクチンのひとつとして、位置づけています。
生後、ワクチンを受けることのできるまでの期間が短いので、初回の接種を、できれば生後2ヶ月、おそくとも生後3ヶ月半過ぎ(生後14週と6日)までに受けさせましょう。詳しくは、かかりつけ医と相談してください。
ロタウイルスの大人の症状 潜伏期間
大人がロタウイルスに感染するほとんどのケースは、子供から二次感染する場合です。ですから、お子さんがウイルスに感染しているときには、気をつけましょう。
二次感染の主な経路は、感染者の「便・嘔吐物」によって感染するものです。おむつを交換するときや、嘔吐物を処理する際には、使い捨ての手袋などを使用します。
大人の場合の潜伏期間は1日から2日程度といわれます。ロタウィルスの症状は子供が感染した場合よりも、軽度です。感染初期には微熱が出る場合も多いですが、しかし子供ほど重症にはいたりません。
ロタウイルスになったあとの対処法
ロタウイルスによる急性胃腸炎の症状は特別な治療法がなく、大切なのは嘔吐と下痢が引き起こす脱水症状を予防することです。
とにかく水分をこまめに補給することが大切。
水分は湯冷まし、麦茶、リンゴ果汁(みかんなどの、かんきつ類の果汁は下痢の原因となることが多いので避ける)などを補給しましょう。
お子さんの場合、乳幼児用のイオン飲料は、赤ちゃんの体に負担をかけず、すばやく吸収されるのでオススメです。
ただ、水分を一度にたくさん飲ませようとすると、逆に嘔吐を引き起こすことがあるので、何回かにわけてこまめに少量ずつ与えましょう。
お子さんが口からの水分補給をまったく受けつけなくなったら、点滴が必要になります。脱水症状が深刻になるまえに医療機関へ受診させましょう。
ロタウイルスの二次感染に注意
大人がロタウイルスに感染したときの症状は子供よりも軽いのですが、非常に感染力が強いロタウイルスは人から人への経口感染が起こる場合があります。
たとえばウイルスを持った人が飲んだ同じストローで飲んだり、ドアノブなどにウイルスが付着していたら、そこから口に入って感染してしまう可能性があります。
会社勤めをされている方は、周りの人への感染を拡大させるおそれがありますので、欠勤するべきでしょう。
ノロウイルスとは違い、知名度が低いロタウイルス。しかし、5歳になるまでの子供のほとんどが感染するといわれるほど、身近な感染症でもあるのです。
これを機会に、ロタウイルスの症状をは把握し、より理解していただくと嬉しいです。