おたふく風邪といえば、水ぼうそうと並んで子供の頃にかかりやすい伝染病の代表といった感じですよね。原因はムンプスというウィルスで飛沫感染、接触感染で発症すると言われています。
小さな子供は咳やくしゃみをしたり、鼻水をふいた手でそこら中のものをさわりますし、口に入れたりなめたりしますから、感染しやすくて当然です。ここではおたふく風邪の子供の症状や経過、療養中の食事などについてご紹介します。
出典 http://www.tkhs.co.jp/img/HE130110_360.jpg
おたふく風邪になった子供の症状について
まず耳の下あたりを中心に、アゴのラインにかけて普段より腫れぼったくなり、見た目オタフクのようにふくれた顔になります。
この耳の下にある器官を耳下腺と呼び、そこが腫れて炎症を起こすので『流行性耳下腺炎』=おたふく風邪といいます。
片側だけ腫れる場合もあれば、日にちがずれてもう片側も腫れだしたり、最初から両方とも腫れたりとお子さんによって様々です。
もともとふっくらした顔のお子さんだと気付きにくいかもしれません。顔を触るのを嫌がったり、食べたり飲んだりするのを嫌がったりしたらおたふく風邪の感染を疑ってください。
さらに38度前後の発熱が一般的ですが、ほとんど熱の出ないお子さんもいます。この場合あまり症状の出ない『不顕性感染』というタイプで、感染したことに気付かないこともあります。
おたふく風邪の平均的な経過具合は3、4日で熱は下がり、腫れも1週間ぐらいで治まるという感じです。
もしこの日数を過ぎても高熱が続いている、激しい頭痛や腹痛、嘔吐といった急変があった場合は合併症の疑いがあります。
・おたふく風邪で子供の合併症とは?
もっとも起こりうる合併症のひとつが『無菌性髄膜炎』です。高熱、頭痛、嘔吐の症状があれば可能性が高いです。また強い腹痛があった場合は『膵炎』を起こしてしまっている可能性もあります。どちらの場合も早急に病院へ!
ほかに心配な合併症でおたふく風邪が原因の『ムンプス難聴』というものがあります。5000人に1人の割合で3歳~7歳の幼児から学童に起こりやすいといわれています。
発症後4日後くらいに突然片耳が聞こえにくくなるのですが、小さいお子さんだと自分で異常を知らせられないことが多く、親も気付けなかったりします。
発見が遅れてしまうと聴覚機能に大きなダメージが起こってしまい、気付いた時には治療不可能となってしまうことも……。けれども早めに気付くことが出来れば改善するケースもあります!
おたふく風邪に子供が感染したら、発症後しばらくのあいだ耳のすぐそばで指をこすり合わせた音(高周波の音)を聞かせてみてください。
ちゃんと聞こえているといった反応があれば安心ですし、もし怪しい様子であればすぐに耳鼻科へ連れて行きましょう。早期発見が何より大切です。
また小さいお子さんでは少ないですが、睾丸炎(男児)や卵巣炎(女児)を起こすこともあります
おたふく風邪の時の食事について
おたふく風邪による腫れは、思った以上に痛みが強かったりします。小さいお子さんだと飲食すべてを嫌がって拒否してしまうことも……。ではどのようなことに気を付けてあげればよいでしょうか?
1. 硬いものは無理です!
噛む=アゴを動かす、口を開けることが痛くてつらいです!やわらかくてあまり口を開けずに噛まずに食べられるものがいいでしょう。
2. 刺激のあるものや濃い味のものはやめましょう。
たとえばおかゆを食べる時についつい梅干しとなりがちですが、酸味のあるものは唾液腺を刺激し痛くなります。また唾液を大量に出すような辛いもの、しょっぱいもの、甘すぎるもの・・・など味の濃いものは避けましょう。
3. 温度に気を付けてあげましょう。
熱いものは炎症を悪化させます!腫れには冷やすと気持ち良い場合がありますから、おなかを冷やさない程度のものであれば飲み物などは少し冷たい方がいいかもしれませんね。
以上のことから、食べられそうな食事として、おかゆ、コシのないうどん、具をすりつぶしたスープ、豆腐など。そしてこれらは全てうす味でぬるめのものにしましょう。
飲み物に関しても細めのストローを使えば口を開けずにすみます。その時も「好きだし喜ぶから」とオレンジジュースなどの酸味があるものはやめて、水や麦茶、牛乳などをあげる方が適切かもしれません。
熱が高く痛みが強い時は不機嫌ですし泣いて嫌がるかもしれませんが、脱水症状を起こさないようにくれぐれも気を付けてあげましょう。
登園、登校はいつから?どれくらい休ませる?
おたふく風邪にかかりやすい年齢は全国的に見ても3歳~7歳と幼児期~学童期にかけてです。考えられる感染場所は保育園、幼稚園、小学校と当然そうなります。
まさしく通園、通学時期に感染してしまいます。おたふく風邪にかかった子供はどれくらいのあいだ休ませなくてはいけないのでしょうか?
園や学校にもよるかもしれませんが、学校保健法という法律に基づいているところが大半です。2012年3月31日までは、1週間の出席停止またはそれ以上経過しても腫れが引いていなければ休む・・・となっていました。
しかし同年4月1日より、耳下腺等の腫れが始まった後5日以上過ぎて、全身状態が良好であれば(腫れが少し残っていても)登園、登校してよいといった内容に改正されました。
これは仕事をしているお母さんにとっては朗報となっています。けれどもこれはあくまでも登園登校許可のめやす……となっていますので、子供の体調の重視と周囲の人への配慮を考えるようにしましょう。
これらすべてにおいて心配をしなくてすむ方法は、やはりおたふく風邪の予防接種を受けるということです。ただし接種をしても抗体が出来ないケースが1割程度あって感染してしまうケースもあるようです。
1歳以上なら接種可能(乳児は感染率が低く、感染しても軽症)で、病院によって値段に違いはありますが相場は3000円~7000円とのこと。自治体によっては助成される所もあるそうですので、お近くの区市町村に問い合わせてみましょう。
小学校へ入学するまでにおたふく風邪に子供が感染しなかったら、予防接種を受けるということも考えてあげてください。