高校生ならば、伝えたいことを効果的に簡潔にまとめる全体の構成力のようなものが問われると思います。
今回は読み解く力を養える、海外の編訳系、短編小説をおすすめします。
「モーム短編集 上」行方昭夫 編訳
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「短編小説日和 英国異色傑作選」西崎憲 編訳
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短編は、内容が凝縮されているので書きやすいですし、原作者と編訳者、両方の意図を汲み取ることができると思います。
今回は「モーム短編集」を参考にご紹介します。
序論は物語のなかで選び出したきっかけと感想
前評判やレビューをみて、あるいは本屋で何気なく手に取って、読んでみた全体の感想から始めます。
例文
いろいろな話をたくさん読めるので短編小説が好きです。
この本は本屋おすすめの場所にあり、表紙の絵がきれいで惹かれて購入しました。
読んでみたら時代背景がとても興味深く、全体的に文明的な仮面を被ったイギリス人と田舎の良識あるマレーシア人という統一感があり、中でも「手紙」という作品に大きな衝撃を受けました。なぜなら~
本文を引用しつつ感想を織り交ぜる
感想をメインに、全体的なあらすじを的確に把握しながら
自分の言葉に置き換えて簡潔に挟むと良いかなと思います。
例
とても穏やかな女性が起こしてしまった、誰もが正当防衛だと思っている殺人事件がたった一通の手紙から崩れ去ってゆき、その過程は読み進めるほどに謎が深まり、彼女が豹変する結末にはゾクリとした不気味さが浮かびあがってきます。~
まとめと、編訳についての考え
心に残った箇所や、作者の気持ちなどを想像し、読む人へ伝えるような気持ちでまとめていくと流れに沿った滑らかな文章になると思います。
例1
この日本語訳の表現は、とても素晴らしく元が英文だということを忘れてしまうほどの名文だと感じました。
文章のテンポもよく、原作の味わい深い感情をとても絶妙に表していると思います。
わたしも将来なにかを正確に伝えられる仕事に就きたいと考えるようになりました~
例2
モームが伝えたかったことは、自分の今いる環境になじんでゆく人間の安心感と危機の価値観、土地が変わることによって変化していく考え方や行動など、そこに孕む危険性を危惧したものなのかと感じました~
さいごに、主題から脱線していないか、文章として成り立っているか、句読点のバランスなどをチェックしましょう。
その本の解説も文章を作る過程で参考になると思います。