おたふく風邪に大人はかからないと思っていませんか?実は大人も普通に感染しますし、大人になってからの方が合併症を引き起こし重症化する確率も高いのです!
ここでは大人がおたふく風邪になってしまった場合、どんな症状なのか……女性の場合と男性の場合で気を付けることなどをご紹介します。
出典 http://www.miyake-naika.or.jp
おたふく風邪になった大人の症状とは?
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の大人の症状をみていきましょう。
耳の下の酷い腫れと高熱
名前の通り耳の下にある耳下腺と呼ばれる箇所が腫れて、大人の場合は比較的高い熱が出ます。
おたふく風邪に大人になってから感染すると、残念ながら症状は重い人が多いようです。40度近い高熱が出たり、耳下腺の腫れもかなり痛みがあります。
おたふく風邪の原因
おたふく風邪はムンプスというウィルスが原因で起こる病気です。
一般的な初期症状としては、軽い首の痛みと頭痛。「ちょっと体調を崩したかな……」という程度で始まります。
風邪の症状に似ているので、周囲におたふく風邪になっている人がいない限りは、自身でおたふく風邪にかかったと気づく人ほとんどいないでしょう。
ちょっと調子が悪いかなと思った後、発熱、頭痛、耳の下が腫れだして初めて「あれ?これってもしかしておたふく風邪?!」と気付くようになります。
大人が重症化するのはなぜ?
大人の場合、体内に入ってきたウィルスをやっつけようとして激しく抵抗するので、子供よりも高熱が出たり、炎症がひどくなったりするようです。
さらに子供に比べて大人の方が体のどこかに疾患がある場合も多いため、合併症を起こして重症化してしまうケースも少なくないのです。
おたふく風邪の合併症について
なかなか下がらない高熱、激しい頭痛や腹痛、嘔吐などの症状があった場合は合併症を起こしている確率が高いです。ではどんな合併症が考えられるのでしょうか?
【髄膜炎】
まず約10%という高い確率で起こってしまうのが「髄膜炎」です。1日のうちに3回以上嘔吐があったり激しい頭痛にみまわれたりしたら、髄膜炎を疑ってください。
【脳炎】
また約0.2%の割合で「脳炎」になってしまうケースも。髄膜炎の症状に加えて、意識障害やけいれんなどがある場合は脳炎の可能性が高いです。
【膵炎】
ほかに「膵炎」も合併症で起こる場合があります。発熱と激しい腹痛、胃痛。嘔吐などで、少数ですがショック状態となり、症状が悪化すると腹膜炎を起こしかねません。
これらの合併症はすべて命にかかわる危険がありますので、救急車を呼ぶなどして早急に受診をしてください。
おたふく風邪の男性女性別の症状
大人になってから、または思春期以降におたふく風邪に感染すると、男女それぞれで特に注意しなければならない合併症があります。
◆女性の場合
心配される合併症は『卵巣炎』です。全体の約7%の割合で発症しています。
症状
おたふく風邪に感染して、もし激しい腹痛の症状があった場合は内科へ。場合によっては婦人科の検査をすることもあります。
卵巣炎になってしまっても不妊になることはあまり無いようですが、長期的に後遺症となってしまうのは苦しいことです。早めの受診と適切な処置が大切です。
妊娠中が危険
また、妊娠中におたふく風邪に感染してしまったら、低体重児出産や流産の危険性があります。
◆男性の場合
もっとも危惧されるのが、『耳下腺炎性睾丸炎(精巣炎・精巣上体炎)』です。
20%~35%という高い確率で起こってしまいます。感染した場合この可能性を念頭におかなくてはなりません。
症状
発熱、陰嚢部の腫れ(3~5倍の大きさに腫れる)、疼痛(うずくような痛み)といった症状が出ます。陰嚢部を上に持ち上げたり冷やしたりすることで楽になるというのも特徴。痛みがひどいときは局所麻酔をする場合も。
後遺症
この睾丸炎は片方だけということが多いらしいですが、左右両方共に発症し睾丸に大きなダメージが起きてしまった場合、『無精子症』と言われる不妊症の原因となってしまいます。
おたふく風邪の診断書はもらえる?どのくらい休む?
おたふく風邪の診断書は病院で書いてもらえますが、2000円~5000円ぐらいと値段に違いがありますので、事前に調べておくのも良いでしょう。
休まなければならない期間は、10日~2週間というケースが多いようです。最初片方だけの腫れだったのに、その後もう片方が腫れだしたり、合併症を起こすなどで長期に渡る場合もあるようです。
会社への対応方法
完治証明書が必要か会社に確認をしましょう。
会社によっては、おたふく風邪は法定感染性疾病ということで、欠勤扱いにならないということもあるようですから、診断書はもらった方がよいですね。
周囲への対応
また周囲の人への配慮として、おたふく風邪に感染したことを知らせる手段でもあります。
もちろん診断書が出る前の段階で疑いがあれば、会社へは告知しておくべきでしょう。
そして腫れがあるうちは感染力があるということです。腫れが引いて、熱や倦怠感といった症状がなくなるまでの期間は安静が必要となるようです。
血液検査を受けよう
女性も男性もおたふく風邪は大人になってからの症状がつらいです。
子供の頃になったという記憶がない人、なったかどうか定かではないので不安という人は保険が適応されますので、血液検査を受けてみましょう。
検査の結果ムンプスウィルスの抗体が付いていなかったら、予防接種を早めに受けることをおすすめします。こちらは実費(3000円~7000円)となってしまいますが、大人になってから感染してしまうリスクを考えると受けておく方が賢明です。
まとめ
決して軽く見ることが出来ない病気ですし、自分だけの問題では済まなくなってしまうこともあります。
子供の頃におたふく風邪の経験がない大人は、予防接種という対策があります。これを機会に一度考えてみてはいかがでしょうか。